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栗原邸一般公開のギャラリー・トークに参加

国の登録有形文化財「栗原邸」の一般公開が5年ぶりに開催されました。

 

建築はやはり実際に見て、空間に身を置いて、その建物を感じるのが一番ということなのでしょうか、公開初日の5月27日(土)には、200名を超える方が見学に来られたとか。私は、28日(日)に行われたギャラリー・トークに参加させていただきました。

 

事前の打合せなくはじまったギャラリー・トークですが、笠原先生の絶妙なリードのお陰で、楽しくお話しさせていただきました。研究者や専門家とだけでなく、市民とのイベントも経験豊富な方なので、慣れていらっしゃるのかもしれませんね。個人的に最も驚いたのは、次から次へと訪れる見学者に休む間もなく説明をされていた笠原先生が、ギャラリー・トークではさらにギアをあげてトークを繰り広げられたことです。尽きることないエネルギーというか超人的な気力と体力と建築に対する愛情を感じました。

 

また、応接間と食堂を開け放した会場に立ち見の人たちを含めて50名以上の人が集まり、建築談義に花を咲かせた時間は、撮影で訪れた時よりも建物が生き生きしているように感じました。

 

2階の一室では、この春私の制作した映像をエンドレスで上映していて、みなさん熱心にご覧になられていました。

 

催事名 栗原邸継承のための一般公開2023 ギャラリー・トーク

日 時 2023年5月28日(日)14:00~15:00

会 場 栗原邸 (京都市山科区御陵大岩17−2)

主 催 栗原邸保存研究会/一般社団法人リビングヘリテージデザイン

 

《上映作品》

関西の歴史建築 vol.12 YAMASHINA Modernism KURIHARATEI」(2023/57min/HD

 

《作品紹介》 京都市山科区の御陵(みささぎ)にある栗原邸は、染色家で京都高等工芸学校(現:京都工芸繊維大学)校長だった鶴巻鶴一の邸宅として1929年に建てられました。設計は同校教授の本野精吾(もとのせいご)に依頼しました。 本野は、ドイツ工作連盟が設立されて間もないドイツに留学した経験から、種機能性と合理性を追求したコンクリートブロック剥き出しの住宅を造ります。建築技師・中村鎮(まもる)によって発明された中村式鉄筋コンクリートブロック、通称「鎮(ちん)ブロック」を用いた建物は当時としては目を引く建物だったことでしょう。日本におけるモダニズムのはじまりと言えるこの建物は、DOCOMOMO Japanという組織から優れた日本のモダニズム建築として選定され、2014年には国の登録有形文化財にも指定されています。

この作品では、2011年から京都工芸繊維大学大学院の教育プログラムとして修復作業をされている笠原一人先生に、建物の歴史的・文化的価値を語っていただきました。

 

 

出    演      京都工芸繊維大学大学院助教 笠原 一人

            栗原邸オーナー 医師 栗原 眞純

            (有)京壁 井筒屋佐藤 佐藤 ひろゆき 

資  料  提  供      笠原  一人

            京都工芸繊維大学 美術工芸資料館      

            栗原 眞純 

            『中村鎮遺稿』(中村鎮遺稿刊行会発行、1936年) 

            『萬年社広告100年史』 

企    画      笠原  一人

            若林 あかね            

構成・撮影・編集・製作 若林 あかね 

 

ギャラリー・トーク会場の様子

映像を上映している部屋の様子