· 

酒井一光さんの思い出が・・・

 

前回のブログで紹介した近畿産業考古学会のオンライン発表日の前日、会のメンバーで古くからの知り合いの大塚さんからお電話をいただきました。配布資料の見直しやPPTの準備に追われていたこのタイミングに何の用かな?と思いながら電話に出ると、「小石川高校って知ってる?」と唐突の問い。「お恥ずかしながら知りません」と答えると、「僕の母校なんだけど、大阪歴史博物館の酒井一光先生知ってる?彼も卒業生なんだよ」と図らずも酒井先生の母校を知ることになりました。

 

小石川高校の同窓会では、卒業生の著作物を公開する「紫友文庫」があり、そこに酒井先生の遺稿集「タイル建築探訪」「発掘 the OSAKA」が寄贈されたことから、これらの本を同窓会報で紹介しようということになり、現在、酒井先生の思い出を卒業生から募集しているということでした。

 

大塚さんはNHKの記者として長年活躍された方で、小学校5年生から新聞を作って周囲の人に配っていたという筋金入りのジャーナリストですので、ジャーナリスト魂に火がついたのでしょうか、根掘り葉掘り酒井先生との関わりを尋ねられました。その後も「酒井さんに世話になったことや印象をメモで送ってください」とのメールに拙いメモ書きを返信したところ、かれこれ半年が経った本日、大塚さんから小石川高校の紫友同窓会会報を手渡されました。

 

そこには、「或る博物館学芸員の仕事ー故酒井一光さんが残したものー」というタイトルで、稲垣さんと大塚さんお二人の卒業生の思い出が4ページわたって特集されていました。その特集を読んで「紫友文庫」に酒井先生の遺稿集を寄贈されたのが稲垣さんであることを知りました。稲垣さんは、ふと手にした一冊の本「窓から読み解く近代建築」の中に掲載されていた建築から推測して高校の同窓であることを突き止められたそうです。その後の酒井先生との交流からも稲垣さんが相当の建築ファンであることが伝わってきました。

 

大塚さんの文章では、大阪で働く東京出身の同胞として船場の建築の話をしたことが書かれていて、私が送ったメモの中からも、甲陽園のカフエーパウリスタに酒井先生が見学に来てくださったことと写真2枚が掲載されていました。一市民に対する酒井先生のお人柄をあらわすトピックとして事務局の並木さんが上手に編集してくださったようです。

 

後日、東京の高校を卒業した甥っ子から、小石川高校は鳩山由紀夫や小沢一郎も卒業した都立の有名校だということを教えてもらいました。そして、稲垣さんの文章から卒業生の中に故鈴木博之先生がいらっしゃることを知りました。鈴木博之先生と言えば、大阪中央郵便局を守る会の事務局をしていた当時(もう10年前になります)、大変お世話になった方です。遠く離れた一つの高校と酒井先生だけでなく鈴木先生までも関係があったことを知り、「小石川高校と建築と私」の不思議なご縁を感じた出来事でした。

 

紫友同窓会会報第49号表紙