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近畿産業考古学会2021年度総会行事に参加

 

2021年度近畿産業考古学会のオンライン総会行事に参加しました。

 

総会での研究発表は3度目。オンラインの今回は、10年前に制作した「高島屋東別館(松坂屋大阪店)」を上映させてもらいました。高島屋東別館は、建物名はそのままに半分が昨年1月にデパートメントホテル「シタディーンなんば大阪」として生まれ変わったばかりで、マスコミにも取り上げられた話題のホテルです。この時期に会のメンバーと高島屋東別館(松坂屋大阪店)の歴史を映像で振り返る良い機会だと考え選びました。

 

高島屋東別館は大阪市内に残る数少ない近代建築で、国の登録有形文化財でもあリます。そのリノベーションは、外観をはじめ天井のレリーフやエレベーターホールなどかつて百貨店であったことを偲ばせる部分は残しつつ、機能的でおしゃれなホテルに生まれ変わっています。都心の名建築のリノベーションとして、『Casa BRUTUS』(カーサ・ブルータス)の「甲斐みのりの建築半日散歩」シリーズの第一回目にも取り上げられています。

 

作品上映後の質疑応答では、昨日高島屋史料館開催の見学会に参加したという方から現状を教えていただきました。また、子供の頃、まだ松坂屋大阪店だった時代に屋上遊園地のゴーカートで遊んだことがあるという方からもご意見を頂戴しました。「タイルが貼られたゴーカート場には低い段差がついていた。映像を見て、あの段差が子供用プールの跡だったことがわかったよ」と数十年間の謎が解けたようでした。

 

垣本先生からは、大阪市交通局のモンロー主義で日本橋3丁目あたりには地下鉄の駅がつくれなかった話や、当初オーチス社のエレベーターを導入したのだけれど、安全性の担保のため一機は三菱製を使っていたという話を教えてもらいました。そして、「良い時期に撮影したと思います」というお言葉も頂戴しました。映像ではエレベータ機械室で巻上機が回転しているところを撮影したのですが、今ではもうそういう撮影が出来ない事を思うと、関係者のご理解とご協力の元、良い時期に撮影できたと思います。今回の発表でもたくさんのみなさんにフォローしていただき、オンラインであることを忘れるくらい盛り上がり、高島屋東別館はみんなに愛されている建築なのだなーと改めて実感することができました。

 

催事名 2021年度近畿産業考古学会総会行事

日 時 2021年4月17日(土)13:30〜16:30

 

《プログラム》

特別講演 「近畿地方における鉄道産業の立地」中山嘉彦氏(大阪学院大学経済学部教授 本会副会長)

研究発表 「数奇な運命をたどった百貨店高島屋東別館(松坂屋大阪店)の歴史を映像で振り返るー」(ビデオ放映と報告)若林あかね氏

 

 

《上映作品》

関西の歴史建築 vol.2 「高島屋東別館(松坂屋大阪店)」 (2009/23min/HD) 

 

「東洋一の百貨店建築」とも評された、旧松坂屋大阪店を撮影しました。私たちの世代には高島屋東別館の印象が強いですが、ブライダルサロンの時代を経て、現在はホテルとして営業しています。中部建築界の巨匠・鈴木禎次の代表作で、大理石の玄関ホールやエレベーターの豪華な装飾など百貨店全盛の様子を今に伝える貴重な建物です。当時の写真や資料も松坂屋本店からお借りして紹介しています。めったと見られないエレベーターの機械室も撮影させてもらいました。実現しなかった地下鉄との通路跡も撮影し、大阪のまちと建物の関係にも言及しています。昭和9年(1934)鈴木禎次設計

 

制 作 協 力 国立大学法人  大阪教育大学  情報科学講座  垣本徹

      (社)大阪府建築士会  会員会勢委員会  女性分科会

資 料 提 供 大阪市交通局

      大阪市立図書館

      神戸女学院大学講師  学術博士・一級建築士  川島智生

      (「髙島屋東別館(旧松坂屋大阪店)の建築史的研究」より)

      株式会社髙島屋

      東京日日新聞

      長居パークセンター

      毎日新聞社 

      株式会社松坂屋

 

ナレーション      西橋 正泰

選曲・音効       岩田 修一

企画・構成・撮影・編集 若林 あかね

 

シタディーンなんば大阪